足場の組立て等作業主任者

ビケ足場に吊り下げてある「足場の組立て等作業主任者」は
足場の設置期間中、有効ですか

(2014年12月20日 掲載)

足場の組立て等作業主任者の看板
 労働安全衛生法14条は、労働現場の安全衛生管理組織のひとつとして作業主任者制度を設けています。 作業主任者は、危険または有害な設備、作業について、その危害防止のために必要な事項を担当することになっています。
 作業主任者を選任すべき作業は、労働安全衛生法施行令6条に記載がありますが、その中に「つり足場、張出し足場または高さが5メートル以上の構造の足場の組立て、解体または変更の作業」が含まれています。そして、事業者が作業主任者を選任したときは、作業主任者の名前と作業主任者に行わせる事項を作業所の見やすい場所に掲示するなどの方法で関係する労働者に周知させることになっています。(労働安全衛生規則18条)
 ところで、作業主任者の職務については、大きく2つの類型があるといわれています。ひとつは、作業の危険性や有害性防止の観点から作業の指揮を主とするもの、もうひとつは、設備の危険性や有害性防止の観点から設備管理を主とするものです。作業の指揮を主とする類型の作業主任者は、その者が立ち会わなければ作業を行うことができず、個別の作業ごとに作業主任者を選任する必要があります。一方、設備管理を主とする場合は、作業ごとに選任する必要はありません。
 足場の組立て等の作業主任者は、作業の指揮を主とする類型に分けられます。つまり、足場の組立て、解体または変更の作業では、その都度、作業主任者を選任する必要があります。また、関係労働者に周知する方法としては、現場の見やすい場所への掲出だけでなく、腕章や特別なヘルメットの着用などが想定されています。
 当社は、足場の組立解体作業に従事する者のなかで作業主任者としての役割を担う者には青色のヘルメットを着用させています。また、完成した足場の見やすい位置に、当該足場を組立てた作業主任者の顔写真入りの名前を、その職務内容と足場の最大積載荷重と一緒に掲示することにしています。
 前述の通り、この場合の作業主任者は、あくまで足場を組立てたときの作業主任者として有効であって、足場の完成引き渡し後に行われる各種の足場作業までカバーしているものではありません。完成した足場への作業主任者名の掲示は、むしろ足場施工業者としての責任の所在を明確にすることで、当該足場を使用する作業者に安心感を与えるためのものです。
 住宅の新築工事では、作業の進捗に合わせて、足場の変更等の必要が生じることがあります。その場合、その作業を管理する事業者において作業主任者を個別に選任する必要があります。
 なお、足場の作業主任者は、都道府県労働基準局の局長または指定教習機関の技能講習を修了した者のなかから選任することとなっています。 (文・松田)

【参考】
労働安全衛生法
第14条(作業主任者)
 事業者は、高圧室内作業その他の労働災害を防止するために管理を必要とする作業で、政令で定めるものについては都道府県労働局長の免許を受けた者又は都道府県労働局長の登録を受けたものが行う技能講習を修了した者のうちから、厚生労働省令で定めるところにより、当該作業の区分に応じて、作業主任者を選任し、その者に当該作業に従事する労働者の指揮その他の厚生労働省令で定める事項を行わせなければならない。
労働安全衛生法施行令
第6条(作業主任者を選任すべき作業)
 法第14条の政令で定める作業は、次のとおりとする。
 一五 高さ5メートル以上の構造の足場の組立て、解体又は変更の作業
労働安全衛生規則
第17条(作業主任者の職務の分担)
 事業者は、別表第一の上欄に掲げる一の作業を同一の場所で行なう場合において、当該作業に係る作業主任者を二人以上選任したときは、それぞれの作業主任者の職務の分担を定めなければならない。
第18条(作業主任者の氏名等の周知)
 事業者は、作業主任者を選任したときは、当該作業主任者の氏名及びその者に行なわせる事項を作業場の見やすい箇所に掲示する等により関係労働者に周知させなければならない。
第565条(足場の組立て等作業主任者の選任)
 事業者は、令第六条第十五号 の作業については、足場の組立て等作業主任者技能講習を修了した者のうちから、足場の組立て等作業主任者を選任しなければならない。
第566条(足場の組立て等作業主任者の職務)
 事業者は、足場の組立て等作業主任者に、次の事項を行なわせなければならない。ただし、解体の作業のときは、第一号の規定は、適用しない。
一  材料の欠点の有無を点検し、不良品を取り除くこと。
二  器具、工具、安全帯及び保護帽の機能を点検し、不良品を取り除くこと。
三  作業の方法及び労働者の配置を決定し、作業の進行状況を監視すること。
四  安全帯及び保護帽の使用状況を監視すること。