下屋足場

下屋足場の施工で注意するところを教えてください

下屋足場図1
 2階建ての平屋部分を下屋(げや)といい、下屋根の上に組み上げる足場を下屋足場といいます。
 下屋足場は勾配のある屋根面に組み上げるために、十分な補強がないと支柱が横ずれして足場が傾き、最悪の場合、倒壊の原因にもなります。 また、足場の設置中に、屋根材を葺いたり塗装したりする工程が入ることも多く、これも足場を不安定にする要因になります。
 ここでは、ビケ足場の施工標準を参考に、下屋足場の組み方を紹介します。
●下屋足場の補強方法
 下屋足場の施工で重要なのは、足場の脚部の横ずれを防止することと、施工中に一部のジャッキベースが持ち上げられた場合にも十分に耐えうる構造であることです。
 ハンマーでくさびを叩き込むビケ足場の場合、くさび式の根がらみだけでは支柱相互を十分に連結させるには不十分です。 勾配のある屋根面などで一本の支柱の基部に横ずれ等の力が働き不安定になったとき、縁の切れた構造になりやすいため、全ての支柱を外部の足場と連結する必要があります。 このとき、1本の布材だけでは接合部の強度が十分とはいえないので、図1のように2本の布材で下屋足場を支えます。
 こうすると、下屋足場は外部足場の延長線上に組み上げられたような堅固な構造になります。 また、1本の支柱を3方向から支えるため、仮にジャッキベースが一時的に持ち上げられても沈下や横ずれを防いでくれます。 ビケ足場の施工標準では、下屋足場が二側足場(部分二側)で組まれたときは、外部足場との連結は2スパンごとで足りるとしています。ただし、上述のように、屋根面の作業性を考えると、下屋足場は一側足場とし、外部足場と全部のスパンで連結させるのが望ましいでしょう。
 ところで、外部足場との連結がなく下屋足場を単独で組まざるを得ない場合はどうでしょうか。
 この場合は、足場脚部の横ずれを防ぐために全ての支柱を一体的に結合する必要があります。
下屋足場図2
具体的には、足場用の鋼管を複数の支柱にまたがって直交型クランプで緊結します。また、構面が長い場合は、中心部が外側に婉曲するのを防ぐための措置が必要です(図2参照)。
 下屋足場と外部足場が遠く、必要かつ十分な連結がとれない場合は、この根がらみの補強と合わせて補強を考える必要があります。
 ところで、足場の強度は、脚部の安定だけでなく、壁つなぎ、火打ち、控え材などが補完する関係にあります。 たとえば、外部足場との連結を壁つなぎで代用させることも可能です。現場状況を臨機応変に考慮してもっとも、効果的な補強方法を選択することが大切です。
●下屋足場の脚部
 下屋足場のジャッキベースには、勾配のある屋根と密着するように自在型を用います。 敷盤には、弾力性のある樹脂製の専用敷盤を使用します。専用敷盤は長辺が55㎝あり、屋根面との接地面積が大きいため、荷重を分散する効果があります。
 また、足場の設置期間中に屋根面の作業ができるようにジャッキベースの上げ代を確保しなければなりません。 一般的には、新築工事で瓦屋根は30㎝以上、カラーベストは20㎝以上の上げ代が必要です。
下屋足場図3
下屋足場図4
下屋足場図5
●下屋まわりの足場と2階外部足場との中間部
 ところで、下屋まわりの足場と2階外部足場の作業床には段差ができます。 このため、通行性や作業性に配慮して、下屋と2階の中間部は、下屋の軒の形状に合わせて、図3のような組み方になります。
 図中Aの支柱位置には内柱を設け、下屋まわりの作業床から2階部分の作業床に移動するための段差解消用のミニ踏板を設置します。 この内柱は、足場の強度を維持するためにも必要です。また、2階部分の作業床の端部には必ず、開閉式のストッパーを設ける必要があります。
 Aの支柱は下屋の軒の端部から概ね40㎝くらいのところに割り付けるのが望ましいでしょう。 この支柱が軒の端部から遠すぎると手が届かない範囲ができ、逆に近すぎると通行しにくくなります。 (文と絵・松田)

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