地上第一の布

労働安全衛生規則にある「地上第一の布」の布とは何のことですか

地上第一の布とは
 一般に、麻、木綿、絹などの織物を総称して「布」といいます。 転じて、名詞に冠して平ら、水平、横、平行などを意味することがあり、建築用語でも「布」という言葉が使われます。 たとえば、逆T字型が連続した基礎の布基礎、そのために地面を掘削する布掘りなどが代表例です。
 一方、足場の水平材も布といいます。足場の作業床のことを布板や床付布枠といい、手すりを布材ということがあります。
 足場を構成する部材を「布」で表現するのは、耳慣れません。 また、一言で足場と言っても、くさび緊結式足場、枠組み足場、単管足場の代表的な区分だけでなく、仕様や用途別にさまざまな足場の種類があります。 ブラケット一側足場、本足場、棚足場、吊り足場、張出し足場、移動式足場、手すり先行式足場などがそれです。 そのなかで、「地上第一の布」の布が何を意味しているのかについて、判断が分かれることがあります。
 「地上第一の布」に言及した労働安全衛生規則571条は、単管足場の強度を構造面で充足させるための規定です。 つまり、足場は、垂直方向の荷重を負担する建地(支柱)、建地と建地を建築物と平行に水平方向に結ぶ布(水平材)、建地と建地を建築物と直角方向につなぐ腕木(横材)で構成され、一定の強度を保つために、建地、布、腕木がそれぞれ有すべき規格を定めています。
 ここでいう「布」は構造上、重要な役割を担う水平材のことです。「地上第一の布」とは、強度面で足場を構成する水平材として、腕木と一体となって建地を緊結している足場材で、地上から1番目の水平材のことをいいます。 具体的には、腕木と布が一体化した構造の作業床やそれと同等の強度を有する水平材のことを意味しています。
 仮設工業会が制定した「くさび緊結式足場の組立及び使用に関する技術基準」は、その解説に次のように記述しています。「(地上第一の)布は、緊結部付支柱同士を連携し、緊結部付支柱の水平変位を防止することにより座屈防止の機能を有するものを示すものである。 地上第一の布は根がらみと区別する必要があり、一般的には地上部からある程度の距離をとることが求められる」とし、「くさび緊結式足場においては床付き布わく、緊結部付床付き布枠及び緊結部付布材のいずれもが布といえる」。 また、「緊結部付布材を」(作業床のレベルに設けず)「手すり兼用として設置する場合は、この手すりは構造部材であるため、墜落の危険がない場合であってもこれを取り外してはならない」。
 水平材には、その用途から、根がらみや転落防止のための手すりなどがありますが、これらは、ここでいう厳密な意味の「布」ではありません。 ただし、構造材として足場を構成している場合は「布」ということができます。具体的には、二側足場で腕木や作業床と同一の層に用いた手すりで一定の強度を有するものは、構造材兼用の「布」です。
 ちなみに、労働安全衛生規則では、単管足場の地上第一の布は2メートル以内に設けることが必要です。 また、厚生労働省の通達である「足場先行工法のガイドライン」は、建地を二本組にし、隣接する面が緊結されている構造の足場は2.3メートル以下とすることができるとしています。(文と絵・松田)

【参考】
労働安全衛生規則 第571条
 事業者は、鋼管規格に適合する鋼管を用いて構成される鋼管足場については、前条第一項に定めるところによるほか、単管足場にあつては第一号から第四号まで、わく組足場にあつては第五号から第七号までに定めるところに適合したものでなければ使用してはならない。
1 建地の間隔は、けた行方向を一・八五メートル以下、はり間方向は一・五メートル以下とすること。
2 地上第一の布は、二メートル以下の位置に設けること。
3 建地の最高部から測つて三十一メートルを超える部分の建地は、鋼管を二本組とすること。
4  建地間の積載荷重は、四百キログラムを限度とすること。(以下略)

足場先行工法のガイドライン
(5)地上第一の布 地上第一の布は、2メートル以下の位置に設けること。ただし、建地を二本組にした足場及び隣接する面が緊結されている構造の足場については、2.3メートル以下の位置に設けることができる。
(6)布の間隔 布の間隔は、2メートル以下とすること。

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