足場の設計施工付レンタルの見積り

足場を組立て解体工事込みでレンタルするときの見積り書の計算はどうするのですか

● コスト積上げ方式
コスト積上げ方式
● 業界標準方式
業界標準方式
◆ コスト積み上げ方式と業界標準方式
 通常、足場だけをレンタルする場合、部材の種類ごとに1日当たりのレンタル(賃借)料金が設定されています。レンタル料は、購入代金(投資資金)の償却年数や、足場部材の平均的な稼働率を基にケレン整備に要する費用や管理費用などを加算してレンタル業者が設定します。当然ながら、レンタルの期間が長ければ長いほど、レンタル料金は高くなります。
 部材をレンタルするだけでなく、足場の組立解体工事も含めて受注する場合はどうでしょうか。この場合、工事の完成に必要な職人の労務費、いわゆる人工代とか工賃といわれる人件費がかかってきます。
 また、保管ヤードから現場に部材を搬出入するための運送料もコストに見込まなければなりません。このほか、足場の設計費用や現場調査費なども必要になってきます。
 このように足場工事にかかるさまざまな費用を合計し、手元に残す利益(粗利)を加算して見積書を作成する方法をコスト積み上げ方式と言います。
 従来、足場のレンタル業といえば、仮設資材を大量に保有し、レンタルに特化した業態が主流でした。鳶職人とよばれる足場工事専門の業者や運送業者は独立して存在し、大きな工事になれば総合建設業者(ゼネコン)がそれらをとりまとめて工事を請け負っていました。この場合、それぞれ分業化した職種ごとにコストを算出し、足場工事全体の費用を計算することができます。
 一方、住宅建築のような比較的に小規模な建築工事は、主体となる工務店や塗装業者が自前の足場材(丸太など)を保有し、自らが足場を組み立ててこれを利用することが一般的でした。
 ビケ足場のような鋼製のくさび式足場が開発されると、こうした従来の方式では対応できなくなりました。足場資材を購入した事業者は、現場の調査から設計、運送、組立を一括して担うようになり、組立工事付で建築事業者に足場をレンタルするという方式が定着しました。また、そうすることで、くさび式足場の普及が可能となったのです。
 それに伴い、業界標準方式といわれる見積りが一般的になります。業界標準方式とは、一定の長さや面積などを表す数値に単価を乗じて受注金額を算出する簡易な方法です。
 住宅建築のような小規模の工事で、コストを積み上げていくことは煩雑で、また、見積りの段階で部材数量を積算することは困難な場合が多く、慣習的に許容された見積りです。
● 床面積と壁面積の比較
(下の2つの建物は、壁面積は同じだが床面積は違う)
壁面積と床面積
◆ 業界標準方式の計算方法
 業界標準方式は、市場価格を意識した価格算出方法ともいえますが、コスト積上げ方式との整合性が必要になります。そうでなければ、適正な価格設定や合理的な経営ができません。
 業界標準方式は足場工事の量に単価を乗じる方法ですが、新築工事用の足場で、かつて主流であったのは建物の床面積を基準とする方法です。
 床面積は建物の大きさのひとつの指標です。しかも、建築図面には床面積が必ず記載してあります。このため、足場工事費用の算出が容易で、発注者側にとっては好まれるやり方です。建物の販売価格を坪単価いくらと表現することがありますが、この場合、建築業者にとっては販売価格とコストが連動するという利点もあります。とはいえ、足場工事に必要な材料の量や作業の手間とは大きな乖離があります。正方形と長方形、入隅の有無などによって床と壁の面積の相関関係は非対応になります(右図)。
 床面積の代わりに、建物の外周長さや壁の面積を数量の基準とする方法もあります。これは床面積に比べると合理性は増します。しかし、足場の高さや壁と足場のハナレ(建物と外柱の間隔)が足場の量に反映されないという難があります。
 なお、建築図面に記載してある床面積はバルコニーなどが不算入で、塗装業者が計算する壁面積には窓の面積が含まれていません。足場の見積りに床や壁の面積を基準とする場合は、これらにも注意が必要です。
 塗装などのリフォーム工事で一般に行われている計算方法は、足場の架面積に単価を乗じる方法です。架面積とは、足場の外側の面積のことです。総2階の建物をハナレ0.9mで4面を組む場合、建物の外周長さに0.9×8=7.2mを加算し、足場の高さを乗じます。2階建ての建物はおおよそ6mなので、屋根からの墜転落防止やメッシュシートの貼付目的で屋根面から1m高く足場を組む場合は7mを乗じます。
 足場の架面積は、使用部材や作業の量が見積り額と比例するという点で、床や壁を指標とする場合と比べると合理性がある方法です。ただし、これだけではレンタル期間の長短は考慮されません。また、足場の仕様(組み方)の違いは面積に乗じる単価に反映させる必要があります。足場工事に伴う様々な付帯条件、たとえば小運搬や狭小地に伴う手間なども別途、検討する必要があるでしょう。
 ところで、ハナレや高さの求め方には一定の決まりがあるわけではありません。このため、架面積は発注側にとっては明快さに欠ける面があります。足場のハナレの設定の仕方ひとつで、見積金額は大きく差異が生じます。このため、架面積を算出するときは、客先に計算方法を開示して行うことが大切です。 (文と絵・松田)

足場の摩訶不思議のページトップに戻る