足場の歴史3 (番外編・丸太足場のいま)

丸太足場はもう使われなくなったのでしょうか

足場の歴史③
 戦後の復興需要によって、天然林の伐採がすすみ、造林ブームが到来、木材需要はかつてなく高まりました。 そこで、1950年代に、森林資源保護の観点から木材資源利用合理化推進運動が林野庁主導で進められるようになったことは、シリーズ1で紹介しました。 ところが、皮肉なことに、その後の木材輸入の自由化による外国産木材の利用拡大、化石燃料の広がりによる燃料としての木材需要の急減によって、国内の森林資源はその有用性を失い、林業は衰退の一途をたどっていったのです。 放置された人工林は、必要な間伐などの手入れが行われないため、森としての健全性が失われ、荒廃していきました。
 昨今、荒廃した森林を再生させるための間伐材の有効な活用推進が、官民で叫ばれるようになっています。 丸太足場は、杉、ヒノキなどの細い間伐材を番線で締め上げて固定するため、間伐材の有効な活用法としては、この上なく有効です。
 とはいえ、安全面で鋼製足場に代わることができないため、使用範囲は限られています。 たとえば、作業床を要しない低層住宅の解体用足場などでは、いまなお、多くの丸太足場を見かけます。
 ところで、丸太足場は、鋼製足場を凌駕する、余りある特性があります。 そのために今なお、丸太足場が根強く使用されている現場があります。
 その特性とは、フレキシビリティ、自由度の高さです。丸太は、建築物の形状に合わせて自由に組み合わせることが可能で、必要に応じてその場で加工することもできます。 しかも、鉄材に比べて弾力性があるので、建築物にやさしく傷をつける可能性が減少します。
 こうしたことから、京都の国宝や重要文化財の改修工事の多くの現場で丸太足場を見かけます。 こうした改修工事では、技術の伝承という歴史的使命をもって丸太足場を使い続けているといいます。 また、自然材としての丸太足場の癒し効果は、世界中から拝観に訪れる観光客に工事中の違和感を和らげる効果もあるようです。
 極めつけは、333mの東京タワーの改修工事に丸太足場が利用されていることです。 電波塔である東京タワーの塗装工事は、5年に1度の周期で行われており、電波への影響を避けるためと近隣への防音対策の必要から、1万本以上の丸太を使って足場を組んでいます。
 丸太足場に息づく技術の伝承、職人の真骨頂が発揮される世界です。 (文・松田)

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