最大積載荷重
ビケ足場の最大積載荷重とその根拠について教えてください
(2014年4月24日掲載 / 2015年9月18日加筆訂正)
足場の最大積載荷重は原則として、作業床の許容積載荷重によって決まります。
ビケ足場は、400㎜幅の作業床の許容積載荷重が200㎏、240㎜幅が150㎏です。
仮設工業会はその認定基準で、各部材に必要とされる強度を設定していますが、許容積載荷重は、その必要強度を2~2.5程度の安全率で除した数字です。
このため、実際には許容積載荷重以上の強度がありますが、材料のバラつきや使用状況により発生する軽微な欠陥を考慮して、安全面で余裕を持たせています。
ちなみに、仮設工業会が定めた240㎜幅の作業床の認定許容積載荷重は120㎏ですが、実際の強度は認定基準値よりかなり余裕があるため、製造メーカーが独自に設定しています。
仮設工業会は、この許容積載荷重に基づいて、くさび緊結式足場の最大積載荷重を定めています。
ビケ足場を軒の高さ10m未満の低層住宅建築工事に用いる場合は、1スパンあたり200㎏以下、かつ足場一構面につき400㎏以下です。
この最大積載荷重は、上の図で説明すると、お相撲さん2人の合計体重が200㎏以下になることを要し、全員の総積載荷重が400㎏以下であることを意味します。
ビケ足場を、高さ45m以下のビル工事用足場として用いる場合は、住宅工事用足場に比べて壁つなぎが効果的に用いられることが多いため、最大積載荷重を作業床の許容積載荷重まで拡大し、その上で、同一スパンでの同時積載を2層に限定しています。
つまり、400㎜の作業床であれば1層1スパンに200㎏まで、1スパンでは2層400㎏までの積載が可能です。
ところで、積載荷重は、作業床から腕木材を通じて支柱に伝わっていきます。
腕木材の最長寸法は1500㎜なので、例えば240㎜幅の作業床を6枚敷き詰めた場合の許容積載荷重の合計は900㎏になります。
この場合は、腕木材の許容支持力が限度になります。つまり、腕木材を挟んで隣り合う同一層のスパンに積載した場合は250㎏、隣り合わない場合は400㎏が上限です。
このように、足場の最大積載荷重は作業床の許容積載荷重と同一ではありません。ビル工事用足場と住宅工事用足場が違うように、足場の使用状況によって最大積載荷重が違います。
この場合、注意を要するのは、足場の最大積載荷重と作業床の許容積載荷重のいずれか低い値が上限になります。
たとえば、240㎜幅の作業床1枚を用いた層の最大積載荷重は150㎏が上限となり、240㎜幅の作業床を2枚、敷き並べても住宅工事用足場であれば1スパン200㎏が最大積載荷重です。
なお、仮設工業会は、その認定基準で仮設機材ごとに許容積載荷重を定め、それに安全率を乗じて必要強度を設定していると書きましたが、つり足場のように厳格な安全性が求められる場合は安全率をより高くしています。
(文と絵・松田)
【参考】
労働安全衛生規則 第562条
事業者は、足場の構造及び材料に応じて、作業床の最大積載荷重を定め、かつ、これをこえて積載してはならない。
2 略
3 事業者は、第一項の最大積載荷重を労働者に周知させなければならない。住宅工事用くさび緊結式足場の組立て及び使用に関する技術基準(仮設工業会)
(2) 積載荷重
足場への積載は次によること。
① 作業床の最大積載荷重は、次表に示された値以下、かつ、同時積載は2層までとすること。
② 作業床には、上表の値にかかわらず、床付き布わく及び緊結部付床付き布枠の許容積載荷重を超えて積載しない。
1スパン(全層合計) 1構面当り 200㎏ 400㎏
③ 足場の一部を6mを超えて高くした一側足場の場合、6mを超える部分の全積載荷重は200㎏以下とする。
④ くさび式足場用梁枠で構成された開口部上方の足場の全積載荷重は、200kg 以下とする。
(4) 表示
足場には、見やすいところに最大積載荷重を表示すること。ビル工事用くさび緊結式足場の組立て及び使用に関する技術基準(仮設工業会)
(2) 積載荷重
足場への積載は次によること。
① 足場の最大積載荷重は、次表に示された値以下、かつ、同時積載は2層までとする。
② 作業床には上表の値にかかわらず、床付き布わく及び緊結部付床付き布枠の許容積載荷重を超えて積載しない。
1層1スパンあたり 同一層連続スパン載荷 250㎏ 同一層連続スパン以外の載荷 400㎏
③ くさび式足場用梁枠で構成された開口部上方の足場の全積載荷重は800㎏以下とする。
(4) 表示
足場には、見やすいところに最大積載荷重を表示すること。