足場の控え(やらず)

控え材を正しく設置する方法を教えてください

 【図1】
控え(やらず)
 【図2】
アウトリガー
 鋼管足場の規格を定めた労働安全衛生規則570条は、「一側足場、本足場又は張出し足場(‥‥)は、(‥‥)壁つなぎ又は控えを設けること」と定めています。 ここでいう「控え」とは、足場が倒壊しないように支柱(建地)の外側に補強材として設けるつっかい棒で、俗に「やらず」と言います。
 「遣(や)らずぶったくり」(=何も与えずに取り上げるだけ)、「遣(や)らずの雨」(=帰ろうとする人を引き留めるように降り出した雨)という慣用句がありますが、控えとしての「やらず」には、その場の勢いやなりゆきにまかせて他方に行かせないということから、支柱を倒さないという意味があるようです。
 控えは、火打ちと同様、壁つなぎの取付が困難または敬遠される場合に設置することになっています。火打ちと同じように、圧縮材と併用することで、引張と圧縮の相乗効果が生まれ、足場の揺れを防ぐ効果があります。
 控えは、足場の垂直面の低い位置に設けると、その効果が上部に及びません。逆に、高い位置に設けた場合は力のベクトルにより、その効果が減殺されます。 控えは、壁つなぎと同じように、支柱(建地)と踏板(腕木と布板)の交点付近に設置することで最も効果を発揮します。このため、2階建て住宅の場合、図1のように2層目の踏板と支柱の交点付近に控えの上端をクランプで緊結します。 控えは、一般に長さ4.5mの鋼管用足場を用いるため、高さ約4メートルの2層目の踏板の位置に設けた場合、控えと地面(GL)の角度は 4÷4.5=sin(62度) により、概ね60度の傾きになります。
 控え、地面(GL)、建地で直角三角形をつくりますが、この三角形が崩れないように、できるだけ地面に近い位置に水平材を設けます。 ただし、人の通行を確保する必要がある場合などは、水平材を高い位置に設けることもやむを得ません。
 控えの地面側の下端部には、ジャッキベースを差し込み、控えが地面に沈下しないようにするとともに、ジャッキベースのハンドルを締めて地面と緊張状態をつくります。 控えは、足場の外側への傾きを防止する効果がありますが、水平材に杭を打ち込むと、足場の建物側への倒壊防止にも効果があります。
 ところで、控えは火打ちと同様の効果があると書きましたが、火打は建物の構面が長い場合に、その効果がが中央部に及びません。一方、控えには、そうした制限がないため、集合住宅など1構面が長い場合に威力を発揮します。 この場合、控えを設ける間隔は、労働安全衛生規則の規定により、5.5mごとに設置します。
 反対に、足場を高く組み上げた場合は、控えの効果が上部に及ばないという欠点があります。この場合は、火打ちと併用する、壁つなぎ等で代用するなどの措置が必要です。
 ところで、控えと同様の効果が期待されるものにアウトリガーがあります。アウトリガーは一般に、構造体の安定性を増すために側部に突き出した装備のことをいいますが、図2のように、くさび式足場をアウトリガーとして組み上げることができます。
 控えやアウトリガーは一定の敷地余裕がないと設置することができません。このため、低層の住宅建築用足場では火打ちに比べ、設置される頻度は高くありません。 しかし、壁つなぎの設置が困難で、4周が緊結されていない足場や部分的な面組の足場は、その側端に控えを設けないと足場が倒壊する原因になります。
 (文と図・松田)

【参考】
労働安全衛生規則 第570条
 事業者は、鋼管足場については、次に定めるところに適合したものでなければ使用してはならない。
(一~四 略)
五 一側足場、本足場又は張出し足場であるものにあつては、次に定めるところにより、壁つなぎ又は控えを設けること。
 イ 間隔は、次の表の上欄に掲げる鋼管足場の種類に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げる値以下とすること。

鋼管足場の種類 間隔(単位メートル)
垂直方向 水平方向
単管足場 5 5.5
わく組足場(高さが五メートル未満のものを除く。) 9 8
 ロ 鋼管、丸太等の材料を用いて、堅固なものとすること。
 ハ 引張材と圧縮材とで構成されているものであるときは、引張材と圧縮材との間隔は、一メートル以内とすること。

足場先行工法のガイドライン
(7) 壁つなぎ又は控え
イ 建方作業前の足場には各面に控えを設けること。
 敷地が狭あいで控えを設けることが困難な場合には全周を緊結した構造とすること。
ロ 建方作業後は、各面に控えを設けた足場以外の足場にあっては、足場の全周を完全に組み上げ、各面を相互に緊結するとともに、速やかに各面に壁つなぎを設けること。
 建築物の構造等により壁つなぎを設けることが困難な場合には、火打ち及び圧縮材を設け、かつ、足場の一面が長さが長い場合には頭つなぎを設けて足場を補強すること。

住宅工事用くさび緊結式足場の組立て及び使用に関する技術基準(仮設工業会)
(15) 壁つなぎ等
 壁つなぎ又は控え等の設置は次によること。
① 建方前の足場
a. 原則として足場全周を緊結した構造とする。
b. 全周を緊結できない場合は、控え・斜材等で補強することにより足場の倒れ防止を施す。
② 建方後の足場
a. 速やかに各構面に壁つなぎを設置する。
b. 建築物の構造等により壁つなぎを設置することが困難な場合は、火打ち及び壁当て(圧縮材)を設け、かつ、足場の一構面の長さが14m以上の場合には頭つなぎ等を設けて足場を補強する。
c. 壁つなぎ又は壁当て(圧縮材)は、垂直方向5.0m(ブラケット一側足場にあっては3.6m)以下、水平方向5.5m以下の間隔で設置し、かつ、足場の最上層及び側端が解放されている足場の場合は、当該側端にも設ける。

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