仮設工業会の認定基準

ビケ足場には仮設工業会の認定マークが刻印されていますが、これは労働安全衛生法と関係ありますか

仮設工業会の認定証
 労働安全衛生法42条は、危険または有害な一定の機械等について厚生労働大臣が定める規格に合致し、または安全装置を備えなければ、譲渡し、貸与し、または設置してはならない、と定めています。 この一定の機械等の範囲は政令である労働安全衛生法施行令13条の中に定めがあり、「別表第8に掲げる鋼管足場用の部材及び附属金具」が含まれます(労働安全衛生法の規格に合致する機械等を構造規格適合品という)。 ところで、「別表8」に列挙されている足場部材は、わく組足場用部材、布板一側足場用の布板、移動式足場用建わくと脚輪、壁つなぎ用金具、継手金具(ジョイント金具)、クランプなどの緊結金具、ベース金具の7種類です。
 このように、労働安全衛生法42条が規制する鋼管足場は、主として高層建築物で使用される「わく組足場用の部材」などであって、低中層の現場で圧倒的なシェアをもつビケ足場などのくさび緊結式の足場を対象としていません。 今日、くさび緊結式足場として用いられる仮設材の中では「直交型」または「自在型クランプ」が構造規格品の対象となっているだけです。
 これは、労働安全衛生法が施行された1972年にはビケ足場に代表されるくさび緊結式足場が未だ開発されていなかったという事情に由来しています。 当時は、主として丸太足場が低層建築現場の主流でした。 従来品の鋼管足場は使い勝手が悪く、低層建築現場で普及することはありませんでした。 1980年ごろにビケ足場が開発されるとともに、くさび緊結式足場が市場を席巻するようになります。
 開発当初のビケ足場は、仮設工業会の認定品外ということで普及の足かせになっていました。 そこで、仮設工業会は、業界団体からの働きかけと労働省の委託という官民双方の意向を受けて、劣悪な仮設材の流通を妨げるために構造規格対象外の仮設材にも安全性の認証を与えることにしました。 1984年に「小規模建設足場の部材及び付属金具の認定基準」が示され、このとき、ビケ足場も仮設工業会の認定品となります。 また、2002年には「くさび緊結式足場の部材及び付属金具の認定基準」が制定され、高さ31m以下にくさび式足場が用いられる場合にも認定の枠を広げました。
 このように、くさび式足場に関する仮設工業会の認定基準は、いわゆる業界基準とでもいうべき自主基準であって、労働安全衛生法の構造規格とは違います。
 ところで、ここで注意すべきは、仮設工業会の認定基準は、その「組立て及び使用に関する技術基準」と一体のものであって、足場が正しく使用された場合に安全性を認証するものということです。 単品としての足場部材の強度が確保されていても、正しく使用されない場合に危険であることは言うまでもありません。(文・松田)

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